弥恵の「からだのかみさま」

東京→京都に移住したライター・弥恵(やえ)の日記です

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

安らぎの更新(大沢温泉16日目)

当初、私の湯治生活は2週間ほどで終わるはずだった。最後の2日間ほどを、後から合流してくる夫と過ごし、一緒にやってくるMr.ベルツリーと晩御飯をちょいご一緒でもさせてもらって、「ではごゆっくり」と、にこやかに立ち去るはずだった。 しかし来てみて…

賢者の恋(大沢温泉13日目)

大沢温泉館内にある露天風呂の前のベンチで、「あら、あなた」と声をかけられた。色の白いおばあちゃんが、子どもみたいな笑顔で私を見上げている。ピンク色の縁のメガネ、色素の薄い瞳、滑らかに歌うような訛り。「あ!」とすぐにうれしくなって、すっとん…

「文は人なり」は惜しいよ、ねえ賢治

「ちょっと文章読んでくれないかな」 と、友人からメールがきた。新卒で入った出版社を退社して、作家を目指すという彼女が、これまでとこれからの決意表明について自分のブログに載せるために書いた文章。私もちょうど自分のブログのはじめの文章を彼女に読…

夜のはじまりのオリオン(大沢温泉8日目)

この4日間、ずっと晴れてた。3泊4日で泊まりにきていた友人夫婦のうちの旦那さんが晴れ男で、二人が帰っていった今日の午後、幕を引くように細かな雪がちらついた。途端にまた眠くなって、見送ったあとふとんに潜った。二人はご近所さんなので会うのはいつも…

【四コマ】ぽこじゃねえし

前回の4コマ、「字があほみたいで読めない」と母にも夫にもたしなめられたので、ちょっと頑張りました。 じょーはポコのことになると局所的にデリケートになる。 1週間も離れると、我が家のふわふわとぷにぷにの仲間たちが本当に恋しい。あああ揉みしだき…

愛と希望より前に響く(大沢温泉7日目)

6時に目が覚めて、身体を温めに「かわべの湯」へ。午前中は原稿を書いて、また温泉に浸かり、まだまだ晴れるらしいので散歩をすることにした。昨日からちょっとずつ歩き始めている。大沢温泉敷地内にある神社にもお参りした。今日はなんだか川べりに出たい気…

湯治のリズム(大沢温泉5日目)

私がいる本館の自炊室にはガスコンロが2つあって、人が2人もいれば満員になる。共同炊事場は隣の棟にあって、そこは理科室くらい広いけど、料理をするには遠い。きんと寒いこの自炊室を使ってるのは今のところ私のみらしい。 新玉ねぎに新じゃがが手に入っ…

私は春に生まれたんだった。(大沢温泉4日目)

こっちにきて3日間はミノムシになった。温泉に入る以外はひたすら布団にくるまってる。ぱらっと詩集をめくったり、ぼーっと海外ドラマを流したり、スカイプで夫の顔をただじーっと見てたり、あとはちょい仕事したり。動きたくなるまでは動かないと決めた。ち…

札幌の女、魚沼の女(大沢温泉3日目)

もはや私の巣と化した「かわべの湯」で、初めてお客さんと一緒になった。「あー寒い!」と叫びながらドアを開け、「あらこんにちは〜」とそのおばさんは喋り出した。湯気で顔もよく見えないのに「ほんとねえ、寒いですねえ」なんて返した。5人入れば満員、く…

沈黙のわ(大沢温泉2日目)

布団に潜って目をつむると、沢の音がした。脳天めがけて清流が流れてくる。自然と、枕の位置が川の上流を向くようにしていたことに気づいた。何度引っ越しても川の近くに住んでいた我が家で、母がいつもそうしていたことを思い出した。「こうすると、頭の先…

宮沢賢治ゆかりの花巻・大沢温泉へ

夫の退職後、温泉に入りながら静かに休養できる場所を探して、やっと見つけたのがここ。 [caption id="attachment_1105" width="3840"] 大沢温泉・湯治部の玄関先[/caption] 岩手県は宮沢賢治ゆかりの地・花巻市の山奥、渓谷沿いにある大沢温泉。 湯治場を探…

おばあちゃんのボケ神秘

その日は大雪で、帰省中に高熱を出した私は母の家で寝てた。午後3時ごろピンポンが連打されて、母が帰ってくるには早すぎるなと思って出たらおばあちゃんだった。私の顔を見たおばあちゃんは「いたが」とびっくりして、そのびっくり顔が、嬉しかった。80をと…

雪が溶けるほど踊りたい

ブログを始めて、記事を投稿するとき、以前SNSとかをやってた時の感覚がもはや思い出せないくらい緊張した。「なんでブログでこんなに手汗かいてんだ」と戸惑いながら、一方で身体の奥の奥から突き上げる「自分をちゃんと表現したい!伝えてみたい!」ってい…

【四コマ】ぽこはかぐや姫?

あ、「召かす」→「粧す(めかす)」だった ちなみにさいきんのぽこちゃん。溢れる貫禄

満月が私をイラつかせるのはなぜか

会社でランチ中の友達と連絡をとっていたら 「信じられないくらいイライラしてるの〜 隣の人が喋るだけでイラっみたいな笑 ・・・ で、調べたら今日って満月なんだね〜。 心が荒れすぎてるのでまた連絡するね(;;)」 と送られてきた。 1月31日。 いやはや…

はじめに、

今思えば。 25歳のあのころは、仕事、SNS、会話のすべてを、「自分のものじゃない言葉」で覆い尽くして生活していた。そのことに気づきもしないで、さもそれが自分の言葉であるように振舞ってた。その歪みはすでに体調に現れはじめてた。 それでも無視してい…