弥恵の「からだのかみさま」

東京→京都に移住したライター・弥恵(やえ)の日記です

あーひと段落したーのしごとの話

丸一ヶ月ほどかかりきりでガリガリまとめてた原稿が、編集者の元へ飛んでいった。来年に発売予定の、IT批評家の尾原和啓氏の新著。夏から秋にかけて、編集者さんと共に尾原さんから聞いたお話を、一冊の本にまとめるお仕事。この後編集さんや尾原さんが手を入れて、どんどん面白くなっていく、そのベースを作るお仕事。ブックライターという言い方をする。

 

昨年秋も氏のビジネス書「モチベーション革命」をまとめさせてもらっていて、今回は2冊目になる。執筆中に、「モチ革」がなんと2018年のAmazon Kindle Unlimitedで総合一位(つまり、最も数多くダウンロードされた本)になったこと、紙版が7刷された吉報が届いてとても嬉しかった。さらには台湾、中国、韓国でも発売された。次の本も、多くの人に読まれるといいな。

 

そもそも友人からは「なんでガラケー持ちの弥恵がそんなIT最先端の人の本作ってるの」とよくよく聞かれる。なんでじゃろ。尾原さんはかつてiモードを作った人で、 docomoの絵文字のドットを打った人でもあるらしい。マッキンゼーからキャリアスタートしていて、Googleとか楽天とかリクルートとかいろんな会社を渡り歩いてきたらしい。喋ると非常に情報量が多く、1時間話した内容を書き起こすと1万5千字きっかりになる。

 

そんな尾原さんの書籍や連載各種を、かれこれ2、3年くらい担当させてもらっている。出会いはジブリの「熱風」での取材で、原稿を気に入っていただいて、その後の書籍制作にライターとして呼んでもらった。2度目の「熱風」の取材の時、六本木ヒルズで約束して、スッと「この上のカフェと、その辺の緑のあるベンチ、どっちがいい?」と聞かれた時、(あ、気があう)と思った。「ピクニックみたいにしていいですか」と言って、持参したグアバ茶を振舞って、木漏れ日の下でテープを回させてもらった。

 

その翌年には「モチ革」のヒアリングでバリ島に飛んだ。

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余談だがバリ島滞在中にバイクで事故って右足負傷した。。。のも良き思い出

バリ島に一家で暮らしながら世界中を飛び回る尾原さんとは、今や取材のほとんどがズーム(インターネットビデオ会議ツール)だけど、この時は初めて本を作るプレッシャーもちょっとあって、もう少し体温を知りたいと思った。できたらご家族とも会いたいと思った。早朝、遺跡の間をモンキーが飛び交うジャングルでテープを回しながらお話を聞いた。「この人の琴線はどこだろう」と思いながら、合間に雑談を入れた。

 

実際、書籍の内容には一切関係がないことなのだけど、何と無く、こういうことが嫌いなんだなとか、痛みなんだなとか、好きなんだな、ということが、滞在中に少しわかって安心した。そして一番気になったことを聞いた。なんで尾原さん、私のこと指名してくれたんですか。尾原さんくらいなら、ITライターのお知り合いとかたくさんいらっしゃるじゃないですか。ぶっちゃけ私、SNSとかスマホとか全部離れて、アナログ化させてる最中なんですよ。し、しかもいいいインターネットとか、ううう疎い方ですらあるんですよ(ゼエハア)

 

そう言ったら、尾原っちは「いやあ、弥恵さんがやってくれた原稿に、弥恵さんがいないんですよね。ちゃんと僕がいるんですよ。その類いまれな憑依能力が助かるんですよー」とヘラっと言われた。この時、初めて日常会話で「憑依」という言葉を聞いた。ああだから、私はこの人の琴線に触れないと、と思ったのだ。

 

尾原っちのおかげで、同世代のヒットメーカーな編集さんたちとお仕事できたのも楽しかった。「モチ革」のときは幻冬舎の箕輪厚介さんで、ちょうど今みたくブレイクする着火前後を跨いだ。顔は強面なのに、喋るとちょっと舌ったらずで、根っこがピュアな人だった。何と言っても「モチベーション革命」というど真ん中ポップなタイトルを思いつく才能がすごいなあと思う。

 

今回も、今書いていいかわからんので伏せるけど、これまた非常に優秀で、業界でも有名な編集者さんだ。誠実に仕事をされる方で、冷静だけど熱くて、いつもお顔を見るだけでホッとした。今頃、ガリガリ編集してるころ。かなり前に一度お会いしたことがあるくらいで、今回は10回近くに渡る三人でのヒアリング中、実は一度も直接お会いしていない。基本は尾原っち=バリ島、私=京都、編集さん=東京からのビデオ通話なのだけど、ある時は尾原っち=サンフランシスコ、私=ハワイ島、編集さん=東京なんてこともあった。

 

書いてて気づいたが、尾原っちとはそういえば1年以上会ってない。毎月ビデオ通話で仕事してるせいか、いつも会ってる気になってる。リアルで会うと毎回「こんなに肩幅広かったですっけ」「僕アメフトやってたから」「ああそうでした」みたいな会話になる。尾原っちのおかげでリモートで仕事をする垣根が随分下がったし、自由に生きられる面積が増えたなあと思う。個人的に、自分の勘を鈍らせないためにアナログ寄りではあるけれど、自由でいるために必要なツールは存分に使いたい。これが流されて全部使ってると、返って不自由になってくから。

 

そういえば、「モチ革」が出るとき。箕輪さんと尾原さんがSNSでの告知について話し合ってて、恐る恐る「スミマセン。。。私今SNSやめちゃってて」と言ったら尾原っちに「弥恵さんはお祈り担当で! その引きの強さ才能なんで、それで協力してください」と言われたのが何気に一番嬉しかったなー。思えば、「私ってこんな強みがあったんけ」と思えるほど、あれこれ言語化してくれたのは尾原っちだった。ほんでもって確かにあの時「なんかとにかく一位がいいなーナムナム」と手を合わせてたのが色々実現したんだなー(売れたのは当然尾原っち箕輪チームのおかげだけども)

 

思いつきで書いてたら仕事の話ばかりになった。まあそんな訳で、今は休憩モード。他者になりきった後は、なんかこうぼーっとした時間が続くね。

 

合間合間にもちょいちょいイベントが多くて、11月神在祭の出雲と、東京で結婚式、昨日は伊勢にも行ってきたんだー。中旬には巨神兵(母)も襲来してたしな。紅葉はどこもピーク過ぎたね。そう思うと、なんかバタバタが続いたな。ホケーっとしてたいな。